『京都議定書』は、地球温暖化防止会議を疑似体験できるボードゲームです。
「京都議定書」という名前ではありますが、ドイツのボードゲームで、サビーネ・ハラー、ヨハネス・クレナーがデザインし、DEEP PRINT GAMESから発売されています。日本語版は、ホビージャパンが発売しています。
サブタイトルで「マネーが世界を崩壊させる」と標榜しているとおり、単純に地球温暖化を止めるのではなく、地球温暖化を抑えながらも、他国と交渉して、自国の豊かさや業界団体を守っていくゲームです。
環境学習目的で制作されたボードゲームではありませんが、実際の国際会議の交渉が垣間みることができるでしょう。
対象年齢は10歳以上、3~6人で30~45分となっています。
遊び方
地球温暖化会議に出席する世界各国の代表となり、地球温暖化を抑えながら、自国の富を守っていくゲームです。
中央に円形のボードの上に、地球温暖化を表す気温タイル、動物の絶滅を表す動物タイル、大気汚染を表す雲タイルを指示にしたがい5枚置きます。
3種類のタイルの内、1種類の5枚すべて裏返った場合は、環境被害が致命的限界に到達して、ゲーム終了になります。
各プレイヤーは、どの国になるか決めて、その国の国旗カードをとります。そして、各国に決まった豊かさカード、100万ドル紙幣をを配ります。課題カードを3枚受け取り、そのうち、取り組む課題を2枚選びます。
豊かさカードは、それにより起こっている被害、団体アイコン、削減できるCO2が示されています。
「洋上プラットホーム」のカードなら、動物の絶滅の被害があり、石油団体で、諦めることで80t のCO2を削減できることを示しています。
課題カードは、業界団体や環境団体からの要望があり、ゲーム終了時に、その達成度によって得点がはいります。
このカードなら、5点から、地球温暖化を防ぐため減少した豊かさカードで自動車団体アイコン1つごとに1点引いた点数が入り、さらに、「動物の絶滅」が「地球温暖化」「動物の絶滅」「大気汚染」の3つの中で最も進行していない環境被害なら2点入ります。
ゲームは、4つのフェイズを繰り返して、勝負を決めていきます。
- 演説手当フェイズ
- 論文の読み込みフェイズ
- 貢献フェイズ
- 影響フェイズ
論文カードは、削減目標、必要な資金、予想される被害、秘密の被害が示されています。
右側のカードなら、地球温暖化の被害がある「豊かさカード」2枚、400万ドルの資金が必要で、予想される被害が、「気温タイル」が1枚めくれ(気温が上昇する)、秘密の影響が「動物タイル」が1枚めくれる(動物が絶滅する)ことを表しています。
1.演説者手当フェイズ
演説者手当フェイズでは、演説者の国が環境基金から200万ドルを受けとります。
2.論文の読み込みフェイズ
論文の読み込みフェイズでは、演説者は、論文カードを2枚引き、1枚を選び、カードの情報を読み上げます。
論文には、タイトル、CO2などの削減目標、必要な資金、達成されない場合予想される被害が記載されています。また、
3.貢献フェイズ
演説者が論文カードを読んだ後、90秒のタイマーをスタートします。90秒の間に、それぞれの国が、自由に豊かさカード、資金を提供します。豊かさカードは1回に出すのは2枚までです。
また、お金をだして、他国を買収して、他国の豊かさカードを引っ込めさせたり、新たにカードを出させたりすることができます。
4.影響フェイズ
削減目標を達成できた場合は、出された豊かさカードと資金から演説者が、誰の豊かさカードと資金を使って目標を達成するか決め、使ったカードは減少した豊かさエリアに置き、資金は環境基金におきます。使わなかった豊かさカードはそれぞれの国の旗の下に裏面で戻し、使わなかった資金はそれぞれの国庫に戻します。
交渉がうまくいかない場合は、すべての豊かさカードはそれぞれの国の旗の下に裏面で戻し、使わなかった資金はそれぞれの国庫に戻します。さらに、論文カードにかかれている、気温タイル、動物タイル、雲タイルを裏返します。
これを、1種類の環境被害が致命的限界に到達するか、論文カードがなくなるまで、続けます。
- 豊かさカード1枚につき1点
- 課題カードに書かれた条件を満たした場合、その得点
- 国庫の資金の合計で 1位が4点、2位が2点、3位が1点
で合計の得点が最も多いプレイヤーが勝利になります。
ただし、環境被害が致命的限界に到達し、会議が失敗した場合は、得点が最も多いプレイヤーは排除され、残ったプレイヤーで得点が多いほうから順位を決めます。
体験した感想
最初は、みんな率先して、温暖化防止に貢献していましたが、ゲームが進み理解が深まると、他の人にお金を出させようとしたり、買収をしたり交渉が厳しくなっていきました。
最後に環境基金の資金を半分、中国が手に入れて勝利する、という終わり方になったこともあり、
「なんだよーこれ。結局、温暖化に協力しないほうが勝ちかよ。」
「ゲームやっていて気持ちよくない。」
など、不評な感想がでました。
ただ、現実世界の交渉が、ゲームとしてよく表現できているからこそ「気持ちよくない」のだろうとみんなで納得しました。
学校の学習に使えるようなボードゲームではありませんが、大人がやってみて、多くの関係者がいる現実世界で、課題を解決していく難しさを実感することはできるでしょう。