『ウイングスパン』は、野鳥をテーマに、野鳥愛好家として管理する鳥獣保護区に鳥を集めるボードゲームです。
2019年ドイツゲーム大賞を受賞した作品で世界的にも人気です。
アメリカの女性ボードゲーム作家 エリザベス・ハーグレイブ が制作し、ストーンメイヤー・ゲームス社から発売されています。日本では、アークライトゲームズから日本語版が発売されています。
環境学習目的で制作されたボードゲームではありませんが、制作したエリザベス・ハーグレイブは、シカゴ大学全米世論研究センターの政策アナリストでもあり、研究者のこだわりが感じられます。
ゲームを楽しみながらアメリカに生息する野鳥に詳しくなれます。
遊び方
野鳥愛好家として、それぞれのプレイヤーの鳥獣保護区のボードに鳥を集めていきます。
ゲームは、「鳥の配置」「餌の獲得」「卵の獲得」「鳥の獲得」の4種類のアクション中から1つを選んで実行していきます。
- 「鳥の配置」は、配置する鳥の「餌」と必要な「卵」を支払い、鳥カードを生息地に配置します。
- 「餌の獲得」は、ダイストレイにあるダイスを取り、それに対応した「餌トークン」を獲得できます。
- 「卵の獲得」は、「卵」を獲得して「卵」が配置可能な鳥カードの上に「卵トークン」を置きます。
- 「鳥の獲得」は、「鳥カード」を獲得して手札に加えます。
また、鳥獣保護区のボードには、「森林」「草原」「湿地」の生息地があって
「餌の獲得」をすると「森林」に配置された鳥の能力を、
「卵の獲得」をすると「草原」に配置された鳥の能力を、
「鳥の獲得」をすると「湿地」に配置された鳥の能力を、発動できます。
例えば、「アメリカチョウゲンボウ」の鳥カードなら
「餌箱の外にあるダイスをすべて振り、出目にネズミが1つでもあるなら、ネズミの餌トークンを1個獲得し、この鳥の上に蓄える」
という能力をもっていて、アメリカチョウゲンボウがネズミを食べる捕食者だということが伝わります。
アクションを実施するごとに、アクションコマを置いていき、アクションコマがなくなったら、1ラウンド終了です。
最初に役割の「ボーナスカード」が各プレイヤーに配られ、カードの指示クリアすると得点になります。
例えば、「森林官」のボーナスカードなら、
「森林にのみ住む鳥カードの枚数が、3~4枚なら4点、5枚以上なら8点」といった具合です。
また、目的ボードにラウンドごとに目的が設定されています。
例えば、ラウンドの目的が「湿地にいる鳥の数」なら、湿地のゾーンにいる鳥カードの枚数が得点になります。
4ラウンド終わるとゲームが終了になります。
ゲームが終了した時点で、
- 役割のボーナスカードの得点
- ラウンド終了時の目的ボードの得点
- 配置した鳥カードの得点
- 「卵トークン」「餌トークン」「鳥カードに重なったカード」の数
の合計の得点が多いほうから順位が決まります。
体験した感想
鳥カードのイラストが精巧で美しく、170種類も鳥カードがあり驚きます。
鳥カードには、生息地、エサの種類、巣のタイプ、産める卵の数や、ゲームのタイトルにもなっているウイングスパン(翼長)の情報が記載されていて、研究者肌の仕事ぶりが伝わってきます。コマやダイスなどコンポーネントが多く、餌箱型のダイスタワーまでついて、よくこれだけのカードゲームが作れるものかと圧倒されました。
ゲームとしては、鳥獣保護区ボードに鳥を増やしていくのには、
「卵」「餌」「鳥カード」の3つが必要ですが、3つの内の何かが足りなくなり、足りないものを考えて集めているうちにゲームが終わり、「もうちょっとやりたかった」という感じになるいいバランス感でした。
ゲームをやりながら、アメリカには、ゴイサギがいるんだ、ハチドリがいるんだとかアメリカの野鳥の知識がつきます。
案外、日本と同じような鳥も多くて、アメリカと日本の野鳥の比較ができました。
私がやったときは、説明書をみながら 5人でやって、2時間位かかりました。ルールが複雑なので、学校の授業などで扱えるようなボードゲームではないですが、友達同士で集まってやったら、楽しみながらアメリカの野鳥に詳くなれるでしょう。
入手方法
定価7,150円で、ボードゲームショップなどで販売されています。
『ウイングスパン』のボードゲームに加えて使う
- 欧州の鳥カードを使った『欧州の翼』
- 太平洋の島々の鳥カードを使った『大洋の翼』
という2つの拡張セットも売られています。